設立15年目に入りました
「人と人のつながり、社会での関係性もまた資本になる社会=信頼資本社会」を目指して2009年1月に設立した当財団の活動が、15年目に入ったことをご報告いたします。
お金、金融資本は、人類が時間をかけて築き上げてきた重要なツールだと考えています。
そして、人は、孤立させられ、孤独感を深めれば、時に幸福を感じる人生を遠ざけるばかりでなく、生きる意味を感じることが難しくなるものだと考えています。これは、社会と何らかの有機的なつながりを持っている人が、「あえて孤独を望む、孤独な時間も好きだ」と考える、選択できる状況の話ではなく、様々な事情から孤立をさせられてしまう場合の話です。
お金がなければ、生活の質を保つことができないばかりか、孤立に近づくようになってしまった社会の中で、人と人が「できることがあればやるよ」と言い合える関係性もまた資本と考えられるようになれば、減っていく孤立は増えるだろう、そうすれば孤立・孤独がそもそもの原因となっている、あらゆる社会問題の解決にも近づいていくだろう。
これが当財団設立時に立てた仮説でした。
設立準備期間を含めれば15年を超える年月の間に、「孤立による孤独感が人間そのものにどういった影響を及ぼすか」、「経済発展による幸福を追い求め続けてきた結果、孤独感が深まるようなシステムを構築するに至った今の社会が、いかに傷ついてしまっているか」、その認識は広がりました。
2021年3月には孤独・孤立担当大臣が任命されるという状況も生まれました。
しかし、社会問題の解決に寄付や補助金などが果たす役割が小さくないとしても、そのファンドレイジングが出来なければ解決は難しいという話が前提になると、結局はこうした社会問題を引き起こしてきた経済性重視の負の側面と軌を一にしていってしまう可能性が膨張します。
信頼本財団では、世界の中の日本の中の私たちの地域であり、暮らしであることを認識し、大局観は持ちながら、本末転倒な行動をとってしまわないよう、同じ志を持つ社会事業家を育成する社会事業塾実施などの小さな積み重ねから大きな転換に向かって、今後も歩み続けたいと思います。
2023年2月22日
事務局長 川島和子