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Home 関係先インタビュー 休眠預金助成先インタビュー記事 -8-

■株式会社 MIRISE
●同団体プログラムオフィサーサポーター 村田 光俊

 

休眠預金による助成先15団体と各団体の伴走者(プログラムオフィサーサポーター=POS)にインタビューして作成した記事を掲載しています。
各団体のインタビュー記事はPOSが、POSのインタビュー記事はプロジェクトチームである「チーム・Dario Kyoto」が行いました。

ALBUM~たった「一人」を大切に~
株式会社 MIRISE

2016年10月、京都市内で就労困難者の雇用創出を目的に株式会社MIRISE(ミライズ)を設立。障害福祉制度を活用しながら、ECサイト運営(雑貨等販売)事業を展開する就労継続支援A型事業所「ALBUM」を立ち上げた小島拓也所長にお話を伺いました。

 

誰もが自分らしく輝いて働ける環境をつくりたい
小島さん自身、過去に上司とのトラブルなどがきっかけで退職。その後、就労意欲はあるにもかかわらず、なかなか思うように採用に至らない就労困難な状態に陥った経験から、「働きたくても 働けない人に 働ける環境を」という考えが浮かびました。そこで障害(以下、表記はインタビュー者使用にしたがいます)や病気の有無に関係なく、働きたい人が働ける社会を目的とした株式会社MIRISEを設立。現在はその想いを理念に掲げ、誰もが自分らしく輝きながら働けるように活動を続けています。
115名の社員の内、障害や難病のある人が約8割。それぞれECサイト運営(雑貨等販売)、ECサイトサポートデスクでの対応、ロゴやパンフレットのデザイン業務、写真撮影や画像加工業務などを行っています。他の企業から業務依頼があれば、受託する案件もあるそうです。
ECサイトは立地や商圏に左右されず、県外や海外消費の獲得も可能であり、住み慣れた地域で事業を続ける手段として有効です。「業務を細分化することによって、商品仕入、撮影、加工、検品、梱包、発送、データ入力等々、多くの仕事をつくることができます。障害や難病のある人で働きづらさを抱える人でも、その本人が持つ特性や好きなことを活かしながら仕事ができるんです」と小島さんが語るように、適材適所の持ち場で皆さん生き生きと働いています。

 

就労困難ながらも意欲ある人の雇用機会をつくる
既存事業に加えて、クリエイティブな領域の仕事を創出したいと考えている小島さんは、その領域に精通している、スキルある人材の確保ができるかどうかが課題だと言います。一方で、クリエイティブスキル等の即戦力的な要素は持ち合わせていないものの、障害や病気が理由で、就労に困難を抱えている人の雇用や仕事も増やしたいとの想いもあります。どのような人材を雇用するかと同時に、その人に合う仕事をつくっていけるかどうかも課題です。
人に合う仕事を生み出すことは簡単ではありませんが、実現すれば会社の仕事に人を合わせる従来の働き方と併存・交錯させることによって、働く人と環境の多様性が生まれ、個人を活かすことにもつながることから、小島さんは、自社だけでなく、様々な企業や関係機関を巻き込みながら、新しい仕事づくりや働き方づくりにも挑戦していければ、と前向きです。

 

打ち合わせの様子

 

就労困難者の雇用創出を新たな事業へつなげる
今回の休眠預金助成への応募は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、障害の有無にかかわらず、出勤制限や自宅待機、雇い止めや解雇になった人が増加している事態に「何とかしなくては」という思いを持ったことが理由です。「コロナ以前なら弊社の事業に縁のなかった層の人たちからの問い合わせや見学も増加傾向です。仕事を失い、失業期間が長期化すると、就労意欲の低下や無気力化にもつながります。さらに、預貯金や人との関係性が切れ、経済的基盤が崩れてしまうと、家族や友人、知人には迷惑をかけまいと、誰にも頼ることができなくなって孤立し、うつ状態になり、自殺を選んでしまうという事例もあるのです」。このような背景もあり、就労困難者の雇用創出をするという目的で、当該助成金に応募しました。これを契機に、今後は既存事業の拡大と共に新規事業にも挑戦していきたい、と意欲を燃やしています。
新たに12月から年明けにかけては、ボードゲームショップをECサイトとリアル店舗の両輪で運営できるよう、オープンに向けて動いています。単なるお店をつくるのではなく、コロナで分断された人と人とのつながりやコミュニケーションの場、教育の場としても活用できるようなコミュニティにしていきたい、と考えています。また、ALBUM内を、企業やNPO、大学、行政など、様々な人が交流できる場にもしていきたいと、構想は大きく膨らんでいます。
ではこの事業のゴールはどこなのでしょうか。目標は就労困難者の雇用創出20名。もちろんこれは雇用して終わりという意味ではなく、雇用後、同事業を維持・継続することによって、本人の生活面や経済面、心理面、人間関係等がどう変わるのか――そのような部分も検証し、仕事を通じて幸せを感じたり、それぞれが自分自身に価値があると思える機会や時間を数多くつくっていければいい、一人ひとりを大切にしたいという小島さんの熱い想いが根底にあります。

 

働きたくても働けない人のために
最後に小島さんから皆さんへのメッセージです。
「ボードゲームのネットショップと店舗がオープンしたら、商品を買ってください(笑)。あとは、弊社にできそうな仕事があれば、ご相談・ご依頼ください。または一緒に継続的に仕事をつくっていくというスタンスで考えてくださる企業様がおられたら、ご連絡いただけるとうれしいです。『働きたくても 働けない人に 働ける環境を』。この原点、想いを忘れず、これからも活動を続けていければ、と思います。応援、よろしくお願いいたします。ありがとうございました」。

 

 

■インタビューをしたPOS村田より■
MIRISEさんのやっていることは、これからの社会において必要になるばかりでなく、今の働き方や働く人との接し方に大きな気づきを与えてくれる取り組みだと思います。一人ひとりに寄り添って働くということを考える。効率を追い求めるだけではないかたちの働き方。ネットショップという流れの早い分野でそれに取り組みながら、人を大事にすることを絶対忘れない姿勢は、本当に勉強になりましたし、共感できることばかりでした。
また社会における公的な役割も担っているという部分で補助金なども出る事業所をやっていますが、そこに甘んじることなく、補助金がなくても持続可能に運営できる体制を創っていきたいと思うその気持ちだけでも素晴らしいのに、その可能性を大いに感じさせてくれるのが本当に素晴らしいな、と思いました。
様々な課題や大変なことは日々あると思いますが、小島さんの想いと行動はブレることなく、次の時代を担う事業所のあり方や働き方に示唆を与え続けてくれると思います。

 

 

Information

団体名:株式会社MIRISE (ALBUM)
住 所:京都市下京区五条通堺町西入塩竈町363ウエダツインタワービル4階
電 話:075‐365‐2211
Mail:album@blue.ocn.ne.jp
取材日:2021年12月2日
聞き手:村田光俊

 

同団体プログラムオフィサーサポーター 村田 光俊

 

幸せへの指針「プリンシプル」
-自己実現することで人の役に立てるなら、それは最高の生き方

 

「世界から貧困をなくしたい」。村田光俊さんは学生の頃、真剣に考えていたそうです。しかし、自分には何もできない。少しでも世の中を変えようとするなら自分に力をつけなければならないと、死ぬほど働けるところを探し、株式会社船井総合研究所(船井総研)に入社しました。
コンサルタントとして時間を忘れて働きました。自分が何かを成し遂げようとするなら、労働時間など全く気になりませんでした。「だってイチローが9時から18時までの間しか素振りしちゃいけない、なんて気持ち悪くないですか」。確かにその通りです。「自分は決められた時間に働きます」は当然です。でも僕は縛られたくない、と村田さん。会社を立ち上げた今でも社内で最も長時間働いているひとりです。超多忙な村田さんに「仕事、しんどいことはないですか」と尋ねると「ないです」と即答。
長く働いていると効率が悪いとか、休んでいるように見えることがあるとか、もちろんそれもあるでしょう。村田さんにとっては「ただ仕事とプライベートが融合しているだけなので、いつでも休めるし、いつでも働ける」感覚なのです。
8年前、村田さんが会社を立ち上げたのは30歳のとき。コンサルタントの仕事が大好きだったので、起業しようとは全く考えていなかったと言います。彼を衝き動かしたのはリスクより夢を追う経営者たち。成し遂げたい未来があって、借金を抱えるリスクや倒産の心配があっても前へ進む。そんな人たちはとてもかっこよく見えました。やっぱり自分も一度はそっちに行きたいと思ったのです。
ありきたりの会社を立ち上げても意味はない。ならば、人を幸せにするという旗を掲げ世に出よう、と村田さんは思いました。そして誕生したのが株式会社プリンシプルでした。

 

「人を幸せにする」「未来をつくる」-かたちのないものを収益化する最適なビジネスモデル
プリンシプルとは原理原則、主義、信念、あるいは軸。プリンシプルな人は自分があるべき姿を自覚し、常に自分を磨き、同時に自分なりの方法で周りの役に立っている。自らの人生を切りひらく人々が明るい未来をつくる。株式会社プリンシプルは、そんなプリンシプルあふれる人や会社の商品やサービスを世の中に届ける会社です。
その事業のひとつが革製品を扱うショップの運営。なぜ革なのかと言うと、革は何百万年も人間の暮らしに寄り添ってきた天然素材であり、「変革」や「改革」などのことばがあるように、“新しく生まれ変わる”という意味を持っています。商品を手にすることによって昨日までの自分に納得できるか、村田さんは健全な自己否定をしたうえで自己肯定をしてほしい、と言います。なるほど、革にはその製品に見合う自分なのかを問わずにはいられない存在感があるように思えます。
そんな製品を生み出す職人さんたちは、高みをめざし、技を磨き自分の生きる道はここだと定めているプリンシプルな人が多いと言います。株式会社プリンシプルは、そんな人たちを売り上げというかたちでサポートしています。

 

時代の空気を先取りする企業文化がここにある
一方で、プリンシプルはAI開発にも注力しています。原理原則から最先端テクノロジーまで。そのとてつもなく広い振り幅をあえて設けるのは、その間にあるものなら何でも対応ができてしまう、ものすごい戦略です。
最古の天然素材と先端技術。製造と販売、日本と海外。「遠い距離にあるものを融合させることが力」だと言う村田さん。EC、実店舗、越境EC、海外、製造、AIの事業部を擁し、これらを柱とする無限の領域を前に、彼の頭の中はどのような考えが駆けめぐっているのやら。
会社を大きくすることは、株主のためでも給料を上げるためでもない。世の中を変える影響力を持つため。その目的が明確である限り、ここで働く人たちにも迷いはありません。働くことは存在意義を感じながら自己実現していくこと。自分ができることで相手や社会の役に立つこと。それは働きがいであり喜びです。村田さんは本人のやりたいことを100%尊重します。けれど会社に依存することは許されません。自由だけれど厳しい。だけど楽しい。村田さんが提唱するプリンシプルとは私たちが生きる指針、めざすべき道なのだと思います。

 

働きがいと収益を両立させる就労支援のかたち
村田さんは(公財)信頼資本財団A-KIND塾3期生。元々、環境と経済の両立に対して興味があった村田さんは、熊野英介代表理事の著書『思考するカンパニー』を読んで、まさに求めていた答えがある!と感動、3期生に応募しました。ふんわりといいことを言う人は大勢いるけれど、熊野さんは実践の上で環境と経済、ビジネスをつなげている。こんな人がいるんだ。さらに資本を旧来の金融資本ではなく信頼資本で行くという発想に驚き、この人なら実現できると感じた、あこがれの人なのだとか。
そんな村田さんがプログラムオフィサーサポーターとして支援している株式会社MIRISEは、働きたくても働けない人に働ける環境を提供する会社です。今の世の中では働くことが困難な人たちの就労支援。これらの社会的な事業は補助金に依存してしまいがちなのに、なるべく補助金に頼ることなく収益化して持続可能なものにしようと本気で取り組まれているところがすごい、と村田さんは感じています。収益があるということは誰かの役に立っているということ。村田さんは同社の新規事業立ち上げをサポートしてきましたが、現在ようやく柱が決まって実際の構築に入るところです。永続的な就労支援のあり方が、ここでかたちになりそうです。

現場にも積極的に足を運ぶ村田さん

PROFILE 村田光俊

1983年生まれ。中・高・大と関西学院で過ごす。中・高は野球部に所属し、大学では会計学を専攻。大学時代にバックパッカーとしてアジアとヨーロッパ15ヶ国を放浪。2006年4月、船井総合研究所入社。2011年1月、webコンサルティングチームのチームリーダーを拝命。主にネットショップの立ち上げ・業績アップ、web集客、海外ビジネスのコンサルティングに従事。2012年12月退社。2013年1月からアジア8ヶ国を歴訪&起業準備。2013年6月、株式会社プリンシプルを設立。 2019年8月、株式会社プリンシプルから経営コンサルティング業とweb制作の部門を分社化するかたちで株式会社キールを創業。

(公財)信頼資本財団A-KIND塾3期卒塾。

 

取材日:2021年10月1日
聞き手:チーム・Dario Kyoto