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<卒塾生同士だから聞ける・話せるインタビュー>

竹内 理さん:A-KIND塾2期(2016年度)・未来設計実践塾2期(2018年度)卒塾生

インタビュアー:A-KIND塾5期卒塾生・同期塾頭 G5designs大槻彦吾さん

 

今回は、竹内理さん(A-KIND塾2期、未来設計実践塾2期)にお話を聞きました。まずは学生時代から最初のお仕事について。

僕は学生時代、第1回目の京都学生祭典に学生スタッフとして参加しました。京都学生祭典は来場者数が10万人を超える学生プロデュースのお祭りです。2003年当時、大学コンソーシアム京都という組織自体がとても斬新で、大学の街、京都ならではの動きだと感じていました。大学コンソーシアム京都は京都学生祭典だけでなく、拠点としてのキャンパスプラザ京都やインターンシップのマッチング、大学を飛び越えて単位が取れる単位互換制度などを運営していて、僕も色々なプログラムを利用していました。
新卒では大手のIT企業に入り、営業職をしていました。社会人2年目の頃、スランプに陥り、ほとんど売れない時期がありました。当時の上司が心配して一緒に営業をまわってくれました。これで契約できるというときに、僕が契約書を持って行ってなかったという失敗もありました。他には、「この価格でいけるよな」ってお客さんと話がついていたのに、社内での価格調整が出来ていなくて、結果的に難しいとなったこともありました。その時、上司に「お前、ウソはアカン」って言われました。その言葉は、当時まだ学生気分で仕事をしていた自分の心に響き、真摯に仕事をしようと思い直しました。
当時を振り返ると、力が入っていたのかなと思います。僕は競争に強いタイプじゃないし、営業はそんなに得意でもないと思っていました。でも営業活動を通じて人と会うのは凄く面白いし、自分の話をするのも相手の話を聞くのも好きなことに気が付きました。

 

ー過去を振り返りながら、失敗談も教えてくれた竹内さん。さらに多様な経験を積んでいきます。

 

その後、大学コンソーシアム京都に転職し、学生時代から関わりのあった京都学生祭典の事務局として、大学生の伴走支援をする仕事をしていました。京都学生祭典は多くのステークホルダーの協力を得て運営しています。大学コンソーシアム京都からは複数の職員が学生の伴走支援をしていました。大学生が学生祭典事業を通じてみるみる成長していく姿を近くで見られることに、やりがいと達成感を感じましたね。
大学コンソーシアム京都で働いた後、父の会社に入りました。父は京都府内で文化会館や学校など、映画館ではないところで映画上映を行う会社を経営しています。「将来は僕が会社を引っ張っていこう」と、どことなく思っていました。父からは特に誘われたわけでもなく、来るなら来ても良いぞくらいの感じでした。

 

■家族との仕事と地域活動への参加

父と一緒に働いた感想は、「難しいな」ということでした。会話の一つひとつに余計な感情が入ってしまう。僕と父の他に従業員がいましたが、彼らの前で親子喧嘩が始まってしまうこともありました。
もちろんやりがいを感じた仕事もありました。地元の宇治市が舞台のアニメーション映画の聖地上映会に取り組んだことです。会社でその企画について話をすると、父をはじめ他の従業員からは「アニメは難しいんちゃうか…」と言われました。それでもやろうと決めて色々と調べていたら、その映画のファンの方々と交流をしている大学の教員の方、地元の行政、また関連する民間企業とも連携することができ、結果的に遠方のファンも足を運んでくれるような企画となり、父にも「ようこんなに集めたな」と褒められ、頑張ったなと感じる仕事でした。

 

ー多くの協力者を得ながら、竹内さんの想いが形になりました。そしてお仕事から新たな視点を手に入れます。

 

父の会社の仕事は、京都市や宇治市だけでなく京都府全体が対象です。京都府北部や南部の市町村とも仕事をする機会があり、仕事を通して各地の状況が分かってきました。その頃から地域が元気になることは、地域に住んでいる人が元気になることだと感じていました。そこで、まずは自分が住んでいる地域の自治会やまちづくり協議会といった組織に顔を出してみました。保育園の保護者会長にも挑戦しましたね。自分の住んでいる街に、寝に帰るだけではなくて、まちづくりに主体的に関わるようになりました。

 

ーまちづくりに関わるにはハードルがあるように感じます。竹内さんにそのきっかけを聞いてみました。

 

子どもが通っていた保育園は園長さんが男性で、「お父さん飲み会」とか様々な企画をしてくれていました。参加してみると多様な人としゃべれるのが面白かった。地域のまちづくり協議会は、近所に住むおじさんから「こんなんやってるし来てみいひんか?」と誘われたことがきっかけでした。僕が日曜日に子どもの自転車を直していたら、「そんなんも出来ひんのか」と言いながら手伝ってくれるような人です。

 

ー人とのつながりが好きだったことを原動力に、地域のまちづくりに参加し始めた竹内さん。さらにお仕事でも決断がありました。

NPOの運営に関するセミナーの進行をしている様子

僕は大学コンソーシアム京都で働いていた時から、NPOという活動に興味を持っていました。大きなNPOが現れ、注目され始めた頃でした。自分もNPOの活動がしたいという想いと、父の仕事を通じて京都府北部や南部の状況に興味がわいてきたことが重なりました。そんな頃にA-KIND塾をきっかけにしたご縁から、京都府NPOパートナーシップセンターでの職員募集を知り応募しました。
父の会社で働いていたこともあり、「後継ぎ」という想いで育ててくれたことには申し訳ないという気持ちもありましたが、NPOやコミュニティに関わる仕事をしたいという想いが強く転職を決意しました。

 

ー沢山の職種や経験を積まれてきた竹内さん。A-KIND塾とはどのように出会われたのでしょうか。

 

■語るだけではなく実践することの重要性を学んだA-KIND塾

ちょうど自分自身が色々なことを学びたいと思い、様々な勉強会に参加していた時期でした。A-KIND塾のことを耳にして、たまたま知り合いにA-KIND塾1期生がいたので、感想を聞いてみたんです。そうしたら面白かったよ、と勧めてくれました。新しい考え方や新しいつながりを持ちたいと思っていたので、応募しました。

 

ーA-KIND塾での最も印象に残っていることを竹内さんに聞きました。

 

一番、印象に残っていることはフリマに挑戦したことですね。セミナーやワークショップだと計画をつくって終わりかなと考えていたので、「実践までやらすんかいっ」って思いました(笑)。A-KIND塾は連続講座なので、人とのつながりが育ちやすい環境だったと思います。経営者の方も、会社員の方もいて、皆さん様々な人生経験を持たれていて魅力的な人とつながれたことが良かったです。同期だけではなくて、縦(他の期の卒塾生)のつながりも財産です。言うだけじゃなくてやろうぜという行動力も学びました。A-KIND塾で感じたスピード感は刺激になりました。

 

ー学びを得ようと参加し、多くのつながりを得た竹内さん。A-KIND塾を勧めるとしたらどんな方でしょうか。

 

これからの未来をあきらめていない、何とかいい未来にしてやろうという人が参加すると良いと思います。例えば、これから人口がどんどん減少していくことは誰もが分かっています。知っているだけではなく、何をするべきかを考えているような人にとっては、とても良い学びとつながりが持てる場だと思います。

 

ー最後に竹内さんのこれからの未来についてお聞きしました。

 

■行政の立場と未来のまちづくり

(地域交響プロジェクトの)打合わせのために市町村役場訪問時の様子

京都府政策企画部では、地域交響プロジェクトという府民の皆様の地域活動を交付金で支援するプロジェクトに携わっていました。NPO活動をはじめとして地域での課題解決に関わる活動は、まさに自分自身の興味のある分野でもあったので、やればやるほど楽しかったです。京都府内あちこちに行き、幅広い世代の方とお会いし、時には一緒に考え、時には一緒に悩み、時には一緒に動く、本当に楽しい仕事を担当しました。また行政で働くことで、どのようにして行政の判断がされていくのかを学ぶことができました。
NPOやコミュニティに興味を持ち、「まちづくり」について関心を持つようになったきっかけはライフステージの変化です。結婚し子どもが生まれ、自分が育った街に家族を連れて帰ってきた時に、自分が育ってきた街のことを何も知りませんでした。これから家族が、そして子どもが育っていく街のことや未来について、もっと考えていきたいと思いました。
色々と立場は変わっていきますが、これからも未来のまちづくりに関わっていきたいと思います。

 

 

■インタビューをした大槻より■

さまざまな職場を体験しながら、まちづくりというテーマにたどり着いた竹内さん。和やかな笑顔で人生を振り返ってくれました。ご自身の興味関心に正直に歩まれてきた中で、出会った人々と豊かな関係性を育まれてきたことが分かりました。未来設計実践塾にも参加され、信頼資本財団での学びと出会いを発展させているようです。今後の竹内さんの活躍にも目が離せません。

PROFILE 竹内 理(TAKEUCHI Osamu)

1981年生まれ。京都府宇治市出身。龍谷大学卒業。
大学時代は休学やインターンシップ、また学生主体の地域活性化事業に関わったり、ドイツへの交換留学を経験するなど、少し長い大学生活を送りました。
大学卒業後はIT企業での営業職を経て、財団法人大学コンソーシアム京都(現在、公財)へ入職。学生時代に関わっていた産官学連携プロジェクトの事務局を担当。大学生とともに事業をつくり上げていく過程で、地域の方をはじめ多様なステークホルダーと関わることで、まちづくり活動やNPO活動に関心をもつきっかけとなる。
2010年、京都映画センターに転職。京都府全域で映画の上映会などを企画提案する。NPOや異業種の企業との連携した企画など、映画でできる地域の活性化に挑戦。また京都府全域に行くことで、地域がもつ特性や課題を知り、さらにまちづくり活動への関心が高まる。
2017年、京都府庁へ入職。NPOパートナーシップセンターの運営を中心に、市民活動のサポートに従事。2020年からは地域の自治組織を支援する業務に従事。京都府を2022年3月に退職し、4月からはフリーランスとして地域の中間支援に携わる。

(公財)信頼資本財団A-KIND塾2期、未来設計実践塾2期卒塾。A-KIND塾2期副塾頭。

 

 

(2022年4月インタビュー)