シンライノコトバ

KOTOBA
今 伝えたい 私たちからのメッセージ
KOTOBA
皆さまに今伝えたい、知ってほしい財団からのメッセージ
2026.10.01

特異点

 Hugging Face社のセキュリティネットワークにOpenAIのAIエージェント群が自律的に不正侵入した事案、ウクライナを筆頭に様々な国でAIを活用した戦闘用ドローンが開発・売買され兵器として高い能力を発揮している戦場、さらに続々と流出する個人情報など、2026年の後半は、AIによって音を立てて変わっていく社会の負の側面に触れる機会が圧倒的に増えました。

 一方で、数学の定理の証明や自然科学の研究においても、ほぼAIエージェントだけで解を出し、新たな発見をする状況が生まれているという報告もあり、「年末にはAIが人間の知能を追い越し、シンギュラリティが来る」という話も聞かれます。

 

 今月になって、「このままいけば人類は滅亡する」と開発者たちが言い始め、「上場に向けたマーケティング戦略だ」「開発の速度を緩めて喜ぶのは中国のAI企業だ」など、様々な憶測や批判が飛び交っています。しかしはっきりしていることは、日本にアメリカや中国のようなAI基盤モデルを構築している企業はなく、大きく後れを取ってしまっているため、開発速度を上げるも緩めるもただ黙って身を委ねるしかないということです。

 

 AIによって平和や戦争を含む国際関係、産業全体、日々の暮らし方といった社会の骨組みが激変している中、人類滅亡のシナリオを拒否した先に描く社会はどのようなものか。遅すぎるという声もありますし、大袈裟だという声もありますが、私たちはそれぞれが真剣に思考し、未来を描く必要があると考えています。

 

 関係性を求め、望まぬ孤立を恐れて生きるという人類の本質は変わらないと想定される中、私たちが幸福感を得ながらこの電脳社会で生きていくにはどうしたら良いのか。日常業務に取り組みながら、思考し続けます。

 

 (2026年9月30日 事務局)

 

「西田幾多郎記念哲学館」思索の道