希望が処方箋
現代社会に山積している課題をこれまでの常識で解決することはできない。
なぜなら、常識は過去の累積であり、新たに発生している課題解決の仮説に使えないからである。
さらに、現代社会は極大化し、複雑化しているので、状況判断が困難になっている。
過去の経験が使えず、状況判断もできないため、課題解決に向けた仮説検証のための設計ができない。
結果、未来から求められているものを形にすることを諦めてしまう。
そして、「将来はどうなるかわからないから今が良ければそれでいい」との虚無が蔓延する。
しかし、
AIも繰り返し失敗して学んでいく。
芸人も試行錯誤を繰り返してより多くの笑顔を作っていく。
すぐ笑う客と笑わない客、笑ってくれない客の場合は、笑う客に向けてのようにすぐにネタに行かず、そこに興味を持つように探りながら近づいていく。
課題解決に近道は無い。
あるのは、近道で得た成功がすぐに陳腐化するという法則だけだ。
一方、試行錯誤の後、模倣不能な形で成功を収めていれば、それを拡大再生産するときに、近道という方法を学習することで、発展の速度が変わってくるという現実はある。
こういう場合の近道とは、素晴らしい手段のことであり、目的ではない。

自己革新とは、新しい自己の発見である。
新しいとは、価値の変換を指す。
例えば、商品販売時、既存をブランディングして売るのは改良であり、既存をより便利にして売るのは革新である。
人間の意識は、無意識が促すと言われている。
一般的な言葉に言い換えれば、頭を心が動かすということだろう。
現代人は情報で頭を動かされ、心が沈黙し、沈黙した心に幾万もの情報が上書きされ、情報によって心が構成されているかのようだ。
それが学歴社会とも結びついている。
人類は赤ん坊の時に膨大な感覚への刺激を経験するから、考えることができるようになると言う。
事業にも顧客や市場や社会の潜在的ニーズを受け取る感覚を磨き、仲間や家族の潜在的思いを受け取る感覚を磨き、課題があれば解決に向けての仮説を考え、検証し、失敗があってもそこから学ぶ思考力が大事になる。
ただし、長過ぎる試行錯誤は課題を増やしていくだけだ。
日本に課題が山積してしまったのは、失敗の原因分析が出来ずに、状況分析に終始したまま、次々と試行に着手し続けてきたからではないか。
何故、原因分析が苦手なのか。
多分、常識を信じているからだと思う。
常識は過去の累積なのだから状況が変われば常識も変わるという真実よりも、目の前にある常識に縛られた多数決という事実を重んじてしまうのだろう。
人類が社会的に進化したのは、見えない未来のニーズを感じ、経験から来る知識と状況判断を持って仮説を立て、実装できる最小レベルのプロトタイプを作って検証し、失敗から早く学び、成功したプロトタイプを仲間と共に拡張し、周囲を巻き込み、未来を構築していったからだと考えている。
未来の常識は、現在の常識でない。
未来のより良き常識をつくるためには、今を生きる人々の心の中にある良心に宿る希望を増幅させて、試行錯誤していくしかない。
一人で向かうのは寂しいが、同じ希望を持った仲間と試行錯誤しながら、具現化していくことは可能なはずだ。
情報が繰り返し上書きしてくる現代の常識に負けず、仲間との可能性を信じ、社会の可能性を信じられる状況になれば、「虚無」を消滅させることができる。
やる前から諦める「虚無」の感染力を「希望」の免疫力で阻んでいこう。
2018年 11月
様々な団体が、京都各所で企画を主催するHOSP(ホスプ)月間、信頼資本財団は、「そもそも談義」「核と鎮魂」「信頼デイ」を主催します。
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