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皆さまに今伝えたい、知ってほしい財団からのメッセージ
2021.01.05

さぁ来い!未来

明けましておめでとうございます。

 

全国的に寒さの厳しい年明けとなりました。

急激な事態で様々な変容が加速した1年でした。

多くの方に支えていただきましたことを心より感謝申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

この冬は、ラニーニャ現象で、ペルー沖を含む太平洋の熱帯域で東風が強くなり、海面付近の温かい水がより多く西へ。その結果、海面水温が上がるインドネシアの近海で上昇気流が多く発生、影響を受けて日本付近で偏西風が南に蛇行、偏西風の北側から寒気が日本列島に流れ込みやすくなる、これが「厳冬」のメカニズムだとありました。

遠くペルー沖の貿易風の変化によって日本列島が厳冬になるという影響の連鎖について読みながら、その連鎖という意味において、パンデミックが未来に与える影響と似ているのではないだろうかと考えていました。

 

13世紀にシルクロード周辺を征服したモンゴル帝国は、パクスモンゴリカを実現し、シルクロードの交易を盛んにしましたが、その結果、ペストがヨーロッパに入り、全世界で7,000万人以上が亡くなったともいわれています。ペスト流行の時に、教会が発行していた免罪符が人々の不安解消につながり、これによる教会への富の集中がルネサンスを発展させ、神と人間の一体感が人間復興の価値観を生み出し、やがてはプロテスタントを生み、聖書にある清貧と勤勉が中産階級を増やし、産業革命、そして市民革命につながり、「近代」を誕生させました。

 

100年前のスペイン風邪では、第一次世界大戦の終結を早めたといわれるほどの死者の増加と市場への不安が世界恐慌を発生させ、失業者が溢れる社会は、国家に依存することで不安を解消しようと傾き、国家は雇用創出のため計画経済による公共投資を行い不安の解消をはかろうとしました。ここに国民と国家の一体感が生まれ、国民が国家に依存する国家国民が生まれていきました。

 

今回の新型コロナパンデミック下で人々の不安を受け止めているのは、ゲームや絶え間ない情報発信、安心の提供などを行っているオンラインの世界です。コロナ前から加速していたヴァーチャルとリアルの一体化が猛烈に勢いを増した今、どういう価値が生まれていくのでしょうか。

 

ヴァーチャルによって時間と空間を超える肉体的精神的三密を実現したら、個人は、容易に複数の共同体の参加者になることができます。この豊かさに、物質はほとんど必要ありません。リアルの生活で必要になる鉄もセメントも木も使わない快適な住宅、繊維やそのための資源も消費しない服、その他身の周りのものすべてが、物質的負荷を環境に与えることなく豊かな時間を享受できるようになります。

その時「未来」は、「豊かさ」を容易に手に入れることができると知り合理は満足するでしょうが、人間関係において「孤独」が解消されることで満足してきた情理は、大事な価値観が欠落していることにも気づくのではないでしょうか。

 

かつてのパンデミックでは、人間と神の一体感がルネサンスを生み出し、人間と国の一体感が国家を生み出したと書きましたが、今回のパンデミックで、個人のリアルと広範なヴァーチャルの一体感から「空間的距離を問わない仲間との豊かな関係性(信頼関係)がある社会」を生み出していくことはできないかと考えたらそれは壮大過ぎる夢でしょうか。

 

信頼資本財団は、孤立させられてしまうことから解放される社会、信頼関係が増幅する社会の必要性を主張し、その価値観をモノやサービスという商品に転写するソーシャルビジネスを増やすことによって信頼関係が増幅する駆動力を増やし、信頼資本社会を目指していこうと活動してきました。

 

「さぁ来い!未来」

 

信頼資本財団は、リーマンショック直後の2009年丑年の1月に設立してひと回り、再び丑年を迎えました。

 

人の思いを根幹に据えた社会、その中での経済・暮らしという視座が重要であるという設立以来の考えに基づき、パンデミック下の今こそ、生命の尊厳を守るために豊かな関係性=信頼資本を増やす行動変容を促すことにますます力を尽くします。

 

今年も多くの皆さまに参画や応援をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 

2021年正月吉日  

公益財団法人信頼資本財団 理事長 熊野英介 役員・事務局一同