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2020.03.27

信用収縮から信頼濃縮へ

今年、東京の桜は開花宣言一番乗りだった。
その東京で「感染爆発重大局面」と都知事が訴え、3月28(土)・29日(日)の外出自粛要請が出された。
マスクの次にトイレットペーパーが店頭から消えてからもう2週間だろうか、今度は食品が多くの棚から消えている。
 
世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症について世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が3月11日、「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明した。
世界は、この瞬間から新しい局面を迎えたと認識する必要があるだろう。
感染症のみの話をしたいのではない。
 
2008年9月15日に始まったリーマンショックによって世界で「信用収縮」が始まった。
この時は、法定通貨を軸とした貨幣経済の収縮だったので、金融緩和である程度は乗り切った。
しかし、今回はパンデミックショックで実体経済が収縮している。
人々は隔離され、あらゆるところで信用収縮が起きている。
金融の信用収縮はもとより、政治・マスコミ・ジャーナリズム・各界専門家・事業・地域・学校で信用収縮が起きている。
 
米国のFRB(連邦準備制度理事会)が緊急金融緩和を行っている。
しかし、債権に資金は流れず、オイルにも流れず、ドル買いに資金が流れている。
ドルを潤沢に準備していない国々は、国際取引を維持するためにドルを求め、信用していない、されていない自国通貨の価値は下落し続けている。
自国通貨も債権もオイルも信用をなくし、実体経済の収縮からいずれはドルも信用をなくすであろうことを考えれば、スタグフレーション(景気停滞と物価上昇の同時進行)になる可能性が出てきている。
世界は、自国経済を守るとして政府がブロック化を加速し、計画経済を進めるだろう。
市民は、関係性の強化を意識し、ローカル経済を活性化させることができるだろうか。
 
このような時代の急速な変化を単純に「信用収縮」と考えるのでなく、豊かな信頼できる関係性が「濃縮」する社会を構築するチャンスとしたい。
そして、新しい時代の基盤として目指し続けてきた、国内外の地域と寛容に連携しあうことで成立する「地域ごとの自立分散ネットワーク社会」の構築に舵を切る仲間をさらに増やしていきたい。
 
 
2020年3月
信頼資本財団 理事長 熊野英介