シンライノコトバ皆さまにいま伝えたい、信頼資本財団からのメッセージ

2019.03.18

原点

人生とは、時間の累積である。

 

時間は、長い時間、短い時間という「長さ」、早い時間、遅い時間という「速度」、濃い時間や薄い時間という「密度」でそれぞれ表わされ、その都度価値が変わっていく。

 

そして、「命」という文字について。

私が好きなのは、「叩」の部分が口と令から成り立っており、「生きよ!」と天から言いつけられている姿を表しているのが命という文字だという説である。

 

今年を社会の問題と向き合う人に会いに行くフィールドワークの年と定め、先ず2月に数名の財団メンバーと伊豆のA-KIND卒塾生の現場を訪れた。

なぜ、その事業を始めようとしているのか、始めたのか、生きるためか、自分の考えを理解してもらいたいからか、思い通りに行動したいからか、個人として注目されたいからか、自己実現のためか。

懸命に目の前の課題に取り組む人と、そんな問答から始めた。

 

なぜ、社会をより良くしたい、より良い別の社会をつくりたいと思っているのか。

その原点自体が実は自分自身だけのためであったり、考え尽くしたはずの原点を見失い、日々に追われて手段が目的化してしまっている人に会うことが多いからだ。

 

豊かな関係を作り出し濃縮した時間を蓄積する人生の固まりが、豊かな社会につながっている。

豊かな関係を作り出す手段のひとつが、意味のある仕事だと思う。

仕事とは、稼ぎと知恵・知識と情報と仲間とのネットワーク と意志表現というチャンスを手に入れることが出来るものだ。

それらが手に入る豊かな関係性溢れる仕事をしていけば、苦しい時間を過ごすことはあっても、濃縮した時間が詰まった人生へとつながっていく。

 

楽欲すれば、楽しからず、楽しさ欲すれば、楽ならず、そんな言葉がある。

顧客は、市場に影響を受け、市場は社会に影響を受け、社会は時代に影響を受ける。

不確実性がどんどん増す時代に、経済的動機性はどんどん変化する。

経済的動機性を形にする従来型のビジネスは、持続するのが難しくなる。

既に市場ニーズの商品化の時代ではなくなっている。

 

ではどうするのか。

 

社会課題の解決を目指す自らの原点を見定め、社会ニーズを市場化する時代に舵を取り、自己革新をしながら時代を切り拓いていくことに命を使う社会事業家の時間が来ている。

写真:伊豆の社会事業を考える人たちと財団メンバー

 

2019年 3月 

信頼資本財団 理事長 熊野英介