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2016.11.15

正義

今あちらこちらで「正義」が飛び交っている。TwitterでもFacebookでもLineでも。
正義バブルと言っても過言では無い。
アメリカ大統領選挙の「正義」の応酬は、誹謗中傷のフレーズだけが記憶に残った。
「正義」の価値が下がってしまえば、討論でなく、罵り合いに終わってしまう。
 
世界では、自由主義国とIS(イスラミックステート)とロシアなどの「正義」が衝突している。
 
しかし、対立の本質は何だろう?
 
現在、衝突している「正義」の本質は何だろう?
自由主義の本質は何だろう?
個人の自由。自由主義の国アメリカの大統領就任式では聖書に誓う。
神の下で自由と平等の国なのか?
 
神が違えばどうなるのか?
宗教原理主義の本質は、何だろう?
神の下で自由と平等なのか?
 
あれ?自由主義と宗教原理主義は、同じ価値観なのだろうか?
ならば、戦争までして人々に苦しみを与える「正義」の意味は無い。
 
欧米とロシアの対立の本質は何だろうか?
主義?政治?経済?なのか、戦争までして対立する「正義」の意味は見当たらない。
 
人間性を誤作動させるほど、自然や社会を破壊する「正義」などは不必要であり、
それが必要だと思っているのは、これを手段として、人々をコントロールする権力を維持したい者だろう。
現在、人間の尊厳を守るために市民革命から生まれた民主主義の国民国家と資本主義組織のグローバル企業は、人間性を豊かにする機能を果たしているのだろうか?
 
いつの間にか国家のための国民になり、企業のための国家になっていき、全ての「正義」の目的が、経済になっている。
経済価値が「正義」となり、貧困の追放や格差問題を不正義の本質にすることは、誤作動では無いのだろうか。
経済的に潤い、貧困がなくなり、経済的格差が縮まれば社会は幸福になるのだろうか?
いや、世界の現状を見れば、経済価値に本質的な幸福への「正義」はなく、資本主義は幸福を保証するものではないことがわかる。
 
では、幸福の本質における「正義」とは何か?
 
人間の本性とは、性弱だと思う。
未熟な状態で生を受け社会環境の安定の中で育つ。
従って、弱い肉体や精神を助ける強い「愛」が正義であり、
また、古今東西「尊敬」の価値は、経済的豊かさではなく、社会的権力でもなく、「信頼」である。
 
信頼を蓄積し、愛を増加させることを「正義」の価値にしたいものだ。
自然を愛し、人間を愛し、社会を愛し、隣人を愛し、友人を愛し、肉親を愛し、
そしてそれらから愛されたいという人間の性弱の本能に基づく「正義」で
政治家や経済家が議論をする時代をつくっていく一員でありたいものだ。
 
(上記は昨年11月に開催した「信頼デイ」の様子)
 
 
2016年 11月
信頼資本財団 理事長 熊野英介