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皆さまに今伝えたい、知ってほしい財団からのメッセージ
2016.09.15

私も加害者である

今年も台風が多く発生した。多くは、雨台風だった。
これも海水温上昇の影響ではないかとの説がある。海水温上昇の本質は、地球温暖化であり、地球温暖化の原因は、二酸化炭素等大量の温室効果ガスを人為的に増加させてしまったことにある。
 
地球温暖化については、既に四半世紀以上前からレポートされており、今では多くの人が知るところとなっている。
しかし、大量に化石燃料を使っている商品を購入・消費することに意識的な人や、自動車の燃費をよりセーブしようと意識しながら運転している人は少ない。
原発事故の問題を口にはするが、節電を徹底している人は少なく、大量に電気を使うカーボンファイバーやアルミ、マグネシウムやチタン製の商品購入に意識的な人は更に少ない。
 
つまり、無自覚な加害者になっているということではないか。
前述のような状況が大勢を占める社会から大きく距離をとって生きることは、日々の暮らしに追われる中で非常に難しい。
 

しかし、自分もまた加害者の一人であると意識できれば、「積極的に地球温暖化や事故の不安を拭えない原発事業に加担はしたくないが、日常の生活を考えれば仕方がないという妥協の上に成り立つ不自由な意識の社会から解放されたい」という「自由」を意識できるようになる。

 

この意識エネルギーの集合は、社会変革のエネルギーに転化する。
環境問題とそれに連なる可能性がある戦争によって人間の尊厳が冒されていくことを考えてみよう。

環境を悪化させず、人間の尊厳が冒されないようにする方法は無いのだろうか?

 

大量生産大量消費が経済の本質であるかのような企業活動に対し、この意図に沿わない消費行動がとれるだろうか?
資本を生み出すために土地を奪う、資源を奪う、エネルギーを奪うという動機を本質としているような経済活動に対し、それを正論化するようなプロパガンダと距離を置く情報拒否行動がとれるだろうか?
 
すなわち、大量生産大量消費大量情報を生み出す企業に対して、労働状況や株購入、どんな会社に投融資をしているか等を調べて消費行動をとり、預金行動をとるという善なる関係を作ろうとする行為によって、不自由からの解放というエネルギーを合わせ、政治に頼らなくても社会変革は実現していくはずだ。
 
人類恒久の平和を願うならば、この一歩を踏み出す必要がある。
まずは、自分も加害者の一人であることを自覚し、同じ意識を持った仲間を集め行動を続けていこう。
 
善意を持った加害者を自覚できるか、たくさんの人の尊厳を奪ってしまったままの日本で、今、歴史から問われている。
 
 
2016年 9月
信頼資本財団 理事長 熊野英介