信頼資本財団について 社会事業を応援する

関係先インタビュー

INTERVIEW
信頼資本でつながる人たち
INTERVIEW
Home 関係先インタビュー 座談会 ◆「信頼」もまた「資本」になる社会をめざして

信頼資本財団とは

――京都では社会事業に関わる方々の間で知らないひとのいない信頼資本財団さんですが、財団のことを全く知らない方に向けて自己紹介をしていただく、という意識で伺っていきたいと思います。

冒頭は、財団設立準備段階から関わってきた事務局長の川島さん中心に伺いますが、信頼資本財団とはつまるところ、どういう財団でしょうか。

 

■川島(川)■ 2006年から設立の準備を始め、2009年の1月に東京で設立されました。同秋には内閣府から公益認定をとり、全国で活動ができる公益財団法人格になっています。

あまりにも金融資本中心の社会、お金がないと解決しないことが多い世の中になりすぎたのではないか、その結果増えている社会問題も多いのではないか。その解決のためにも「社会関係資本」という人と人の関係もまた資本、つまり元手になるような社会、そういう社会にしていくことはできないだろうかと、現在も代表を務める熊野理事長が、同様の考えを持つ仲間たちとつくった財団です。

 

――財団では、どんな事業を行っているのでしょうか。

 

■川■ 大きく分けて3本の柱があります。

ひとつは社会事業に対し無利子無担保無保証の融資を行っています。人と人、人と自然の良質な関係性を増やしているかどうかが事業の判断ポイントです。無利子で行う代わりに、融資実行の際、他の事業でも参考にできるような社会課題を解決する知恵・知見を出してください、とお願いしています。

また、審査通過後、「信頼責任者」と呼ぶ、その事業を応援してくれるひと3名以上が揃ったら融資実行という条件があります。通常の融資にある保証人のようにいざとなったら代わりに返済するひと、ということでは全くありません。事業をしようとすると、「あなたのやることなら応援するよ」というひとが3人ぐらいはいるだろうから、そういう関係性を持っているひとを応援団として融資を受け、事業を行っていってください、ということです。事業を継続していくには、いずれにしてもそういう応援し続けてくれる人たちが必要ですから。融資期間中、毎月事業報告をもらい、財団からも毎月事業のアドバイスを行い続けます。

この形の融資は12年間、創立時からやっていますが、支払いが滞ったということは一件もなく、現在まで続けています。数は52件と多くはありませんが、多くの団体が今も社会的意義をもって活動しています。

2番目の事業が「共感助成」、2011年の東日本大震災をきっかけに開始した事業です。これは各非営利団体と財団が共に寄付を集め、その寄付をベースに助成をするという事業です。「共感」というのは、社会関係のひとつの在り様として、対象となる人やグループに思いを寄せるということですから、「共感」と当初から頭につけたこの助成は、共感してくれる応援者をその団体自身が集めることに重心があり、財団はそのバックアップを行う存在です。この助成先にも先述の応援してくれる人たち、「信頼責任者」3名以上をお願いしているというのが大きな特徴です。

そして3番目の事業が、社会事業塾です。私たちは社会を変えようと思っている人たちは皆「社会事業家」だという広義の捉え方をしています。それは行政職員の方でも同じです。この行政職員向けの塾と民間向けの塾があり、民間向けのほうをA-KIND(アカインド)塾、行政職員向けのほうを「未来設計実践塾」と名付けて2015年からやってきました。私たちが目指している「社会関係資本もまた資本になる社会」をいろんな場で共に目指してくれる仲間をこの塾をとおして増やしていきたいとの考えで開講、共に学び合う塾となっています。昨年まで顔の見える範囲を大事に小規模でやってきましたが、今年から民間と行政向けをひとつの塾とし、オンライン講義にしました。現在、全国から50名余りの塾生が受講中です。月1回8~10ヶ月間の受講で1.5万~3万円と受講料は低く、この場で生まれる関係性の価値は高くと考えてやってきました。

また、年に一度、財団に関わっているあらゆるひとたちが一堂に会して、共に学び、関係性を増やしたり深めたりするために、「信頼デイ」という企画を設けています。昨年はコロナで一部オンラインというハイブリッド開催となりました。今年も秋に開催予定です。

以上の3本柱で行ってきましたが、現在は休眠預金活用事業が加わっています。

 

――この4つ目の休眠預金活用事業については、後ほどもう少し詳しく伺いたいと思います。

先ほどから出ている「社会関係資本」ということば、これがやはり少しわかりにくいように思うのですが、それが本当に資本になるの?ということも含め、もう少し噛み砕いて教えていただけますか。

 

■川■ たとえば、いまの金融資本主義社会では人やモノやサービスに対してお金を払うというのが当たり前になっていますが、そういうものが介在しなくても、「あなたが言うなら助けるよ、駆けつけるよ。余計なお世話かもしれないが、あなたのやっていることを何とかしたい」といった関係性やつながり、これは目には見えませんが、実は私たちの身近にたくさんあります。最近では「無形資産」「無形資本」という言葉が頻繁に聞かれるようになりましたが、金融だけが人やモノやコトを動かすための資本であるような時代は実は短く、人とのつながりがセーフティネットであった時代の方が長いと思います。こうした関係性、つながりが「社会関係資本」と呼ばれるものです。

 

――前からあったのですが、名前もついていなかったし、それを資本と捉えてこなかった、ということかもしれませんね。

 

■川■ 「社会関係資本」という考え方は、フランスやアメリカで社会学において1970年代から唱えられるようになっており、すでにあったのですが、それがクローズアップされることは少なかったと思います。私たちは、設立時の2009年、これを独自に「信頼資本」と名づけて活動を開始しました。いまでこそ、社会関係資本への理解が進んでいますが、何年も「言っている意味がわからない。融資もしているし、寄付も集めているし、結局お金でしょ」と言われる時期が続きました。

 

――いまでも、そんなことでやっていけるのかという声もあるでしょうし、2009年当時はもっと身近なひとからも心配されたり、大丈夫か?と言われたのではないでしょうか。

 

■川■ 2006年から金融資本偏重の社会を変えていくために何らか社会に貢献できる組織を立ち上げようと皆で準備をしていましたが、社会関係資本の普及に的を絞っていたわけではありませんでした。2008年にリーマンショックがあり、経済や多くの国々の暮らしが大混乱したことから、やっぱりお金だけがほぼすべてのような社会構図になっていると、いまの社会の問題は減っていかないと、はからずも私たちの考えが証明されるようなことが起こった結果、当初は心配していた仲間も、最終的に「信頼資本でいこう」と考えがまとまっていきました。ただし、誤解していただきたくないのですが、人類が創造してきた便利なツールである通貨や金融の全面否定をしているわけではありません。バランスや在り方を探り続けていく必要があるのだと考えています。

財団の「資本」となる関係性のひとたち

――財団の周りには、3種類の方がおられますね。ひとつは事業の対象になる方たち、もうひとつが卒塾生やフェローといった仲間たち、そして応援者たち。それぞれどういった方たちでしょうか。

 

■川■ 私たちが支援・応援しているひとたちというのは、社会事業家です。共に今の社会問題を解決しながら目指す社会をつくる原動力になる人たちだからです。私たちが「社会事業家」と使うときは、先述のとおり広義で今の社会課題に取り組んで社会を変えようとしているひとたちすべてを指します。そのなかでも伴走支援、あるいは金銭的な支援をしているのは、法人を立ち上げて事業をやっていこうというひとたちがメインになります。融資のほうは会社をつくっているひとたちを中心に、助成のほうは非営利団体・法人の方々を対象に行っています。

 

――課題ありきで事業を始めた方たちが多いのでしょうか。

 

■川■ そうですね、事業を立ち上げたひとたちというのは、自身の何らかの経験から、やむにやまれぬ気持ちで、何とかこの問題を解決したいという想いがあって、という方たちが多いですね。

その一方で、想いだけが先走って、困っているひとがいるのだから給料をあまりもらわなくてもやっていく、自身の余裕が無いなかでもボランティアでやむを得ないと、目の前のことだけに取り組むあまり、結果的には事業が継続しないということになりがちだと、長く言われ続けています。

そこを何とかしていくために、資金だけではなく社会関係資本も増やし、存在意義をもって継続していけるよう、事業の応援をしています。

 

――コロナ以降、相談件数はいかがですか、増えていますか。

 

■川■ はい、増えてはいますが、社会事業支援という範疇を超えて、生活が苦しいので何とかなりませんかといったご相談が増えています。

それ以外は、いままで応援してきた社会事業家、特に飲食や宿泊業の方々からの相談がありますね。

これは事業の分野やコロナ禍のいまに限らないのですが、立ち上げ時だけではなく、走ってきたのだが継続がむずかしくなってきたといったケースのご相談も私たちは大事に考えています。立ち上げ時の支援をしているところは他にもいろいろあるのですが、立ち上げ後、一旦うまくいったように見える段階で、支援が終了します。最近増えている社会事業のベンチャーキャピタルによる支援などではなおさらでしょう。私たちは、困ったときに、宿り木というか、ちょっと戻ってきて羽を休め、また元気を培って飛び立っていく、そういう場でもありたいと願っています。そうした支援ができるのは、理事等に事業経験者が多い私たちならではだと考えています。

 

――とても大切なことですね。

次に、仲間と応援してくれるひとたち、というのはどういう方々ですか。

 

■川■ 仲間や応援してくれるひとたちというのは、財団の社会事業塾卒塾生、営利非営利それぞれの事業家や学者・研究者、行政やジャーナリスト、士業の方なども含め、さまざまな方がおられます。みなさん社会関係資本に深い理解を示している方たちです。普通皆さんが「財団」と聞くとイメージされるような権威のある方たちだけが集まっているわけではないというのが、ひとつの特徴かもしれません(笑)。財団の「知恵袋」であるシニアフェローやフェローに名を連ねてくださる方々もおられますが、その他にも「声を掛けてくれればいつでも行くよ」と仰っている方々が大勢いてくださるのは心強い限りです。

 

――そういう方々は熱心に口説いたのですか(笑)。

 

■川■ 口説いた方はいませんね。すでに関係のある方たちの口コミで、いいひとがいるよ、あのひとなら手伝ってくれるよという方にお声がけし、仲間が増えていきました。ちなみに、講師・講演料などはいつも関係資本払いです(笑)

事務局メンバーの素顔と“Why? ”

――財団の話をひと通り聞きましたので、ここからは事務局の皆さん、なぜ財団に関わるようになったのかというところを、お一人ずつ聞かせてください。なお、詳しい皆さんのご紹介は、後日別途お一人ずつのインタビュー機会がありますので、その折にということで。

 

■矢端(矢)■ 僕がいちばん最初に財団と関わるようになったきっかけは、財団の社会事業塾A-KIND塾です。僕は3期生で、今年が7期生なので、参加していたのは4年前になります。約10ヵ月間、毎月ここ風伝館に来て、講義を受けていました。とにかくA-KIND塾の学びがすごく濃くて自分のためになったのと、けれどその濃さを完全には理解できなかったという想いがあり、そのままA-KIND塾4期生も聴講させてもらいました。

卒塾生たちの自発的な集まりがあり、そこにも積極的に参加するうちに、自然と連絡役のようなものをやらせてもらうようになりました。信頼資本財団を取り囲むコミュニティと、ずっと関わり続けていきたいなと思ったのが、いちばんのモチベーションです。

そもそもA-KIND塾は、1期卒塾生でその後シニアフェローにもなっている出路さんが「すごいおススメです」と書いているfacebookの投稿を見て知りました。そのときちょうど当時やっていた仕事も一段落して、もうちょっと勉強して成長したいなという想いがあって、受講料も安いし、家からもすぐ近くだし(笑)、これだ、と飛びつきました。

いきなり第一講で、最初の期待をはるかに越えるものがありました。すごかったです。

 

卒塾生に贈られる「どんな時も元気が出る信頼衆Tシャツ」を着るムードメーカー矢端さん

――福本さんと財団とのなれそめは。

 

■福本(福)■ 僕もA-KIND塾生でして、5期生です。2019年でした。僕はヒューマンフォーラム株式会社の岩﨑さんに「いいよ」と誘われて、ほぼ中身も聞かず、自然な流れで入塾しました。

 

――それってまさに関係資本というか、岩﨑さんがいいって言うからよくわからないけどやってみよう、ということなんですね。

京都西陣出身、優しい笑顔の福本さん

■福■ そうですねえ。中身がどうとかいうより、そんなに勧めるんだったらちょっと行ってきますわ、という感じでした。家も近いし(笑)。で、来てみて初めて、理事長で塾長の熊野の存在を知り、本を読ませてもらいました。

元々僕は経営コンサルタントの会社で19年くらい勤めたあと独立を果たしていまして、いろんな会社を見てきましたが、やはり「どう業績を上げるか」という、経済的動機性というものを重視してきたんですね。ただ、千社くらい関わってきましたが、企業が壁にぶつかったり、転機が来て変わっていくときに、社会的動機性というか、やはりその企業の存在意義が問われてくる。そのときに経済的動機性と社会的動機性の両方を融合させる、両立させるということがめちゃくちゃ大事だな、という問題意識は持っていました。

なので、当時、「熊野塾長の話は、ことばはなかなかむずかしいけど、すごくいいことを言っておられるな」と感じました。大きな学びになった、という意味で財団との出会いはとても大きかったと思います。フリーマーケットをチームでやってみるという卒塾の課題には驚きましたが、なんとかそれもこなし、無事卒塾しました。

僕はリユースとかリサイクルの業界のコンサルを主力にやっていて、熊野塾長に自分の事業相談を何回かしていくなかで、「多くの事業に関わってきた後に、自ら事業を立ち上げ進めている君の手腕で今回の休眠預金活用事業を手伝ってくれないか」と言われました。そして今回もまた、よくわからないまま、かしこまりました、と引き受けました(笑)。

――千馬さんと財団との出会いを教えてください。

 

■千馬(千)■ 僕は現役のA-KIND塾生で、勉強中の身です。僕もずっと経営コンサルタントとして15年くらいやってきました。どうしても売上を上げる、利益を上げるといった商売に寄った側面というのが大きく、そういった仕事をしていくなかで、これって本当に社会にとってどういう意味があるんだろう、といった疑問はついて回りました。

また、これはプライベートな話ですが、わが子にちょっと障害があり、そういうコミュニティとの関係性も拡がっているなかで、今回休眠預金活用事業の仕事をしていますが、採択したなかにそういうひとたちを支援したいという団体もあり、非常に自分ごととして捉えることができています。そういうお手伝いができるのはとてもありがたいと思っています。

どんな苦境でも共に乗り越えてくれると福本さんが評価する千馬さん

休眠預金活用事業とは

――昨年度に続いて財団が関わっている「休眠預金活用事業」、これはどういう事業ですか。

 

■川■ 銀行口座で10年以上出し入れがない預金が休眠預金と呼ばれています。休眠預金を社会事業、福祉に用いている諸外国があり、日本でも同様に活用したいという話は10年ほど前からありました。2019年度から「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)に基づき、休眠預金等を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度がスタートしましたが、これがいわゆる「休眠預金活用事業」です。

休眠預金全般については金融庁、活用事業については内閣府所管となっており、当事業推進のため全国にひとつだけ「指定分配団体」として採択されたのが「一般社団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)」です。ここが全国各地から採択しているのが、私たちのように「資金分配団体」と呼ばれる団体です。「資金分配団体」は、社会事業を行っている「実行団体」と呼ばれる団体を採択し、休眠預金を財源とした助成を行うと共に、「非資金的支援」と言われる独自の伴走支援を行います。

そもそも、社会関係資本もまた資本にしていこうと標榜している団体ですから、大きな助成金を扱う休眠預金事業の資金分配団体に手を挙げるかどうかということには何度も激しい議論がありました。しかし、近畿圏で共に手を上げてほしいとのお声掛けがあり、これまで培った社会事業家支援の力によって少しでもお役に立てるなら、と初代資金分配団体のひとつに立候補し、採択されました。

金融資本中心の社会のなかで困り果てている事業家が多いのを見てきているからこそ、せめて利子をとらない融資をしよう、共感助成をやろうと続けてきたわけですから、休眠預金活用事業も、関わったからには、資金面の梃入れに助成を用い、伴走支援をしながら、あらゆる資本を集めて社会課題解決に向け事業を継続していってくれるよう、日々皆で頑張っています。

2020年度は、コロナで困っているひとたちを支援している団体に対する緊急対応事業を行っています。1年弱という短い期間での助成事業ですが、近畿二府四県で15団体を採択しました。

それぞれの団体に1人ずつ付けている伴走支援者を、私たちは独自にプログラムオフィサーサポーター(POS)と呼んでいます。POSがどういう仕事をするかというと、大きくは3つ。ひとつは透明性の重要な経理面のサポート。事業の実効性と継続性を高めていくためのサポート、そして広報面のサポートです。

 

――近畿圏二府四県ということで、幅広い地域の団体が本事業を行っているわけですね。

 

■川■ はい、私たちは内閣府から認定を受けている公益財団法人なので、京都府だけといった限定はなく、全国で活動しています。2013年に東京から京都に拠点を移し、現在は近畿圏中心に活動をしていますが、これまで支援してきた団体は全国にあります。

休眠預金事業の肝(キモ)

――昨年度コロナ対象ではない休眠預金事業に関わっておられたときからの学びが今回活かされている、という点はありますか?

 

■川■ そうですね。初期の段階から、実行団体と事務局、さらには身近で伴走支援者として接していくPOSとの連携を強く意識しながら進めることが重要だと実感していますので、期間的に短い今回の事業は、POSに、事業を動かしたことがあり、これを継続することのむずかしさがより強くわかっているひと、それを踏まえて、資金面だけに重点を置かず、社会関係資本にも重点が置けるひとを中心にお願いすることを決めました。結果的に、15団体のほとんどをA-KIND塾卒塾生が伴走する支援陣となり、円滑な連携をとりながら進めています。

 

川島さんのひと言に大笑いするメンバー

 

――なるほど。卒塾生の腕の見せ所ですね!

今回の休眠預金事業で実行団体の活動を支えるという点において、このようにPOSを付けるという以外に、信頼資本財団ならではの強みというのはどういうところでしょうか。

 

■川■ 非営利団体だけを支援してきたのではなく、融資のほうでいわゆる営利団体と言われる「会社」という形態をとっているところの支援にも力を入れてきたので、困っているひとへのリーチということだけを主軸に考えるのではなく、組織そのものの持続性、事業の継続性を担保しながら事業をどう行っていくか、というところを共に考えていけるのが、私たちの大きな特徴だと思っています。

 

――いま、手応えとしてはどうですか?

 

■福■ 先述のとおり15団体にそれぞれPOSが付いていますが、実際に事業を経験しているひとが多いし、本当に熱心に寄り添って支援してもらっています。力強いし頼もしいし、しっかりやっていただけているという手応えを感じています。

休眠預金事業の向かうところ

――この先、各実行団体に、どんなふうになっていってほしいですか。

 

■川■ これは今回の助成に限らず、関わる事業すべてに常に言えることですが、こちらの支援期間終了後に途中で息切れするようなことがあります。しかし、その団体の先には、そこが支え、応援しているひとたちがいるので、折れてしまうことなく、事業を続けていってほしいと思います。そうした困ったときに、どうした?とか、手伝えるよ、と言えるような関係性があれば、事業の継続に活きていくと思いますので、助成期間中はもちろん、終わってからでも、信頼資本のネットワークに、どこかでつながっていてほしいですね。

忙しいときには忘れていてもいいけれど、困ったときには思い出し、戻ってきて、ちょっと休んで、そして再び元気になって戻っていってほしいと思います。

 

■矢■ 休眠預金助成事業の特徴的なこととして、これまでの社会福祉や行政サービスの狭間だったり外側に落ち込んでしまうような社会課題を対象にするという側面があります。そういう挑戦的な試みがこれからの先例をつくっていけるような事業になれば、すごく価値があると思っています。特に新型コロナウィルスの助成は、緊急度の高い事案を採択しているので、まずは目前の本当に困っているひとの困りごとが少しでも解消されること。そして、事業が終わったあとにも実行団体の支える力が増して、社会関係資本がふくらんでいくような、そんなかたちになったらいいなと思いながら支援しています。いずれにしても休眠預金事業はまさに国民の財産を社会事業に活用するという試みなので、資金分配団体としての責任を重く感じています。

 

■福■ 20年度緊急コロナ対応事業は来年2月末までということで、あと数ヵ月ですが、そのあともやはり、実行団体、POS、われわれ事務局、その他周りの方々も含めて、関係性が続いていくと本当の資産になるんじゃないかな、と思います。そこがいちばん、この事業の大きな意味じゃないかなと、改めて感じています。

 

■千■ 今回の休眠預金事業をきっかけとして、各団体が今後も周囲を支えていけるよう、目の前の支援事業と共に、組織として基盤を整備されるなど、先につながるようなお金の使い方もしてもらっています。助成終了後もしっかり自走できるようにということです。関係性を広げながら、足元をしっかり整えていくというところにも力強く取り組んでいただけるとうれしいですね。

 

――本当にそうですね。この先が楽しみです。

ありがとうございました。

 

(了)
 
インタビュー日:2021年7月6日 於:風伝館
聞き手: 西田奈都代