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【メンバーブログ27:アドバイザリーボード西田治子(2)】

財団メンバーによるブログ二巡目、お題は「問題の本質」です。
今回は、アドバイザリーボードを務める西田治子氏に語っていただきました。



西田治子(信頼資本財団アドバイザリーボード)



「自律と利他と社会」


私ごとながら、先日、誕生日を迎えた。

私の誕生日は、たまたま原爆の日であるので、毎年、原爆投下の意味することや、自分の生きる意味について、なんとなく考える。ことに、ある程度の歳になってからは、一年あっという間に過ぎるという感覚のある一方で、私は何をしてきたのか、何をなすべきなのか、一年の意味することの重みもひしひしと感じている。

私にとっての人生の命題は、善き人生を生きることであるので、そのために必要なことが何かをもとにして、日々の行いを重ねている。自分にとっての善き人生とは、今ある社会が抱える様々な課題の解決に少しでも役立つことを目指して、日々なすべきことを考え、実践しながら、自律して生きていくことと勝手に定義している。


私を育ててくれた社会への恩返しということも考える。私たちの先達が戦争体験という最大の困難を経て、私たちにもたらしてくれた民主主義や、豊かな社会を、さらにより良い社会にして、次の世代に引き渡すという恩送りも私の行動原理の一つになっている。


このようなことを書くと、たいそうなことを考えているが、本当にそのようなことで生活が送れるのか?また、そのような宮沢賢治の詩のような生き方をして、自分の身を立てられるのか、自分の生活が成り立たないで、人様に迷惑をかけるだけではないかというようなことも聞こえてきそうである。


私は、大それたことの出来る人間ではないということは、自覚している。それでもなお、少なくとも、自分でできる何かをやりたいと考えていて、それが、自分の生の原動力なので、とにかくやらせていただいている。


企業経営のマネージメント論の神様と言われるピーター・ドラッカーが、実は晩年は、NPO のマネージメントに心を砕いていたということは、意外に知られていない。彼は、一番大事なのは経済よりも社会であり、これから先、先進国家においては、都市社会が必要とするコミュニティを生み出すことができるのは、非営利組織NPO の役割であると言っていた。


企業や政府では、解決できない社会の課題を解決し、人々が建設的な目的のために活動するコミュニティを創造することができるのは、市民セクターである非営利組織NPO である。非営利組織NPO こそが、一人ひとりの人間に対し、ボランティアとして自らを律し、かつ世の中を変えていく場を与えるのだと、彼は、今から20年も前に考えたのだ。


今、20年前の彼の予言が的中しているように思う。一極集中の社会システム、大量生産大量消費の経済モデルが、現在様々な課題を抱える日本にあって、政府・企業だけでは、こうした課題を解決することができないことは、明らかである。このような困難な状況の中で、ただ手をこまねいて、望まない社会と生きて行くよりも、私たち一人ひとりが、より良い社会作りのための建設的なコミュニティの一員として、信頼できる仲間たちと、自分たちの手でできる、小さくても確かな変革を、もたらしていくほうが、より生きやすいのではないだろうか。


私は、現在、そのための新しい社会システム作りの一環として、草の根市民による基金活動の手助けや、世界の女性たちに共通の手仕事に目を向け、その新しい価値創造のために、互いに助け合って、就業の場作りをするWomen HelpWomen プロジェクトを実践している。いずれも、経済的に自律した個人が、信頼でつながるコミュニティで、互いに助け合い、利他を目的に活動することによって、持続可能な社会生活を営めるようにするための仕組みづくりであり、私の人生をかけたチャレンジである。

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*西田治子アドバイザリーボードの紹介ページはこちら →http://shinrai.or.jp/about/about-staff/

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