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【メンバーブログ24:評議員 海津歩(2)】

財団メンバーによるブログ二巡目、お題は「問題の本質」です。

今回は、評議員を務める海津歩氏に語っていただきました。

海津歩(信頼資本財団評議員)

 

人々はいつの時代もその時代にないものを求めている。今は物は潤沢にある。だから絆であるとか、心の充足など無形性の価値を渇望している。

 

私は障がい者の会社を経営してきた。日々現場では障がい者手帳を持たない一見して普通の人でも、まるで対人応接できない、生きづらい人が増えている実感があった。今、人間が悲鳴をあげている。

3つの背景があると思う。ひとつはGDP一元評価で制御不能となったグローバル経済。二つ目が無限の効率追求による分業化。そして三つ目が個人主義。

人も自然も科学万能で支配して、二項対立、征服する者とされる者。勝てば、自分さえ良ければそれでよくて、確かに便利になったのかもしれないけれど誰もが一人でパソコンの前で金儲けの個人主義。核家族から単身家族へ、市民社会はおろか、家族という最小単位が崩壊して同じ屋根の下で孤立している。

 

今、この生きづらさの源が何なのか、皆が気が付き始めた。

 

近代は社会の因習や組織から自由を勝ち取る歴史であった。そして人々の行動は自由になったけれど、いざ今度は自由選択ができなくて、案外心が不自由で均質化している。衣食住足りて不幸。世界中で民主主義と資本主義が苦戦している。

英語のレイバーには苦役という意味があるが、傍を楽にするのが「働く」。利己ではなく利他。稼ぎと勤めができて一人前。会社は社会の公器といい、三方よし。2000年続く会社がある。平社員の何百倍の報酬をもらう役員もいない。和をもって尊しとなす。全員が強い当事者意識を持って相互扶助してきた。自然は征服せず、八百万の神を尊び自然と共生してきた。こんな自然観や相互扶助の労働観は日本ならではのものだ。

 

Minolta DSC

これからは、豊かな関係性の修復の時代となる。人と人、人と自然、自然と自然と3つの関係性の修復が命題となる。利益のみを追求し、自然と人とそれぞれを分断した世界の修復は先進国日本の世界に対する使命となる。

 

そしてこれらの活動は過去を否定したり懐古するのではなく、これまでの資本主義の恩恵を活かし、日本の良さを掘り下げて進化するという事だ。

 

法人格や組織を超えた個人や新しい共同体による縦横無尽の相互扶助と信頼や共感・善意といった無形性の価値観が、「孤独」による生きづらさから人々を、豊かな関係性の世界へ蘇生していかねばならない。

 

 

*海津歩評議員の紹介ページはこちら →http://shinrai.or.jp/about/about-staff/

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