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【メンバー自己紹介16:評議員選定委員 藤田和芳】

財団メンバーによるブログ二巡目、お題は「問題の本質」です。
一巡目のお題と並行して掲載していきます。

今回は、評議員選定委員を務める藤田和芳氏に
ご自身の活動紹介も兼ねて「問題の本質」を語っていただきました。

藤田和芳(信頼資本財団評議員選定委員)

藤田さん画像 009

 

大地を守る会は、パレスチナからフエアートレードでオリーブオイルを買っている。オリーブオイルは日本の小豆島でも生産されているが量が少ない。どこか外国から輸入しようということになった。イタリアやスペインという案もあったが、パレスチナから輸入することになった。パレスチナはオリーブの原産地で聖書にもオリーブのことが頻繁に出てくる。エルサレムの市街地を見下ろす山は、現在でも聖書に書かれている通り「オリーブ山」と呼ばれている。そればかりではない。パレスチナは世界の宗教、政治、文化の重要な結節点である。オリーブオイルを通じて世界の平和にかかわりたいという思いからパレスチナ産を選ぶことにした。

 

パレスチナの西岸地区は現在でもイスラエル占領下にある。イスラエルによる入植政策で、パレスチナの人びとは次々と農地を奪われている。奪われた農地の先には巨大な分離壁が建設され、農民たちは自由な移動ができない。パレスチナの人びとにとって、オリーブをつくりつづけることは自分たちの土地を守ることであり、抵抗の証しである。しかし、パレスチナのオリーブ畑は長い紛争の結果、充分な手入れがされず荒れている。石ころだらけの畑でロバを使って収穫作業をしていた。

 

「ここに農道ができたらどんなに農作業が楽になるだろう」。

 

大地を守る会は、〇七年、会員にカンパを募って農道をつくることにした。建設された一・三kmの農道は「平和の道」と命名された。〇八年や一四年のイスラエルによるガザ攻撃のときは、ガザの人びとに緊急に食料や医薬品を送ろうとカンパを呼びかけた。このお金で、パレスチナ西岸地区で食料、医薬品を調達し、ガザに送りつづけたのである。

 

パキスタンでは、カラチ郊外のスラムにある小学校を支援している。会員に呼びかけタンスのなかに眠っている古着を提供してもらい、それをカラチに送っている。カラチは世界的な古着市場がたつ都市である。大地を守る会が集めた古着は、日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)を通じてカラチに運ばれ、古着市場で売られる。

 

小学校はカラチ郊外の巨大なゴミ捨て場の一角にある。児童数は約二〇〇〇人。年間の運営費約一八〇〇万円のうち六〇〇~七〇〇万円を日本からの古着を売ったお金でまかなっている。ゴミ捨て場は、自然発火と子供たちがゴミのなかから金属片を拾いだそうとゴミを燃やすことで、昼間でもモウモウと煙が立ち込めている。地面には生ゴミからにじみ出た汚水が流れ、腐臭が鼻をつく。小学校で授業を受ける子供たちには、机も椅子もない。コンクリートの床にじかに座って授業を受ける。子供たちの顔や腕には、容赦なくハエがたかってくる。

 

校長先生がひとりの女の子の話をしてくれた。その子は、学校で一番勉強のできる子だった。彼女の希望は、将来お医者さんになって貧しい人たちの病気を治してあげたいということ。しかし、パキスタンでも医者になるためには大学まで進まなければならないが、彼女の家は貧しく、中学まで行かせてもらえるかもわからない。おそらく、どんなことをしても大学に行くことはできないだろう。あるとき校長先生は、女の子に訊ねた。

 

「どうしてそんなに一生懸命勉強するの?勉強してもお医者さんになれないかもしれないのに」。

 

すると女の子は、「だって、神様が何かの気まぐれで私をお医者様にしてあげようと思うことがあるかもしれないでしょ。そのとき、私がちゃんと準備していなかったら神様に申し訳ないわ。だから私は一生懸命勉強するの」と答えたという。私は目頭が熱くなった。いまの日本に、このようなことを言える子どもがいるだろうか。貧しさは決して子供たちの心まで貧しくしているのではない。大人たちがどのような社会をつくるかが問題なのだ。

 

*藤田和芳評議員選定委員の紹介ページはこちら →http://shinrai.or.jp/about/about-staff/

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