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NO.36 海津 歩 評議員「誰も知らない」

image1-150x200「誰も知らない」
海津 歩 評議員(ヤマトボックスチャーター株式会社 業務改革担当部長)

 

灰谷健次郎の約20ページの「誰も知らない」という物語がある。

 

筋力が普通の人の10分の1しかない障害者の麻里子は、毎朝自宅から養護学校のバスが来るバス停までの約200mをお母さんと40分をかけて歩く。

追い越して行く人はさまざまだ。「たいへんですね」「がんばってね」「毎日御苦労さま」「あれじゃ日が暮れる」「おぶってやればいいのに」「気味悪い」「あんな子何が楽しみで生きているのか」・・・。

一方、麻里子はというと天気によって、四季によって毎日変わる景色や植物、たまに会うネコや顔見知りと、おかあさんと、毎朝毎朝を新鮮な気持ちで歩み、みちたりている。

大通りは車でいっぱいで、ネクタイをしながらあたふたと出かけていくサラリーマン。眠そうな目をして不機嫌にあるく学生。泣いている子をひきづっているお母さん。麻里子とおかあさんはそんな人たちを先にやりながら、200m40分の速度を変えずに一歩一歩歩いていく。

 

あなたの知らないところに、いろいろな人生がある、あなたの人生がかけがえのないように、あなたの知らない人生もまたかけがえがない。人を愛するということは、知らない人生を愛するということだ。

 

943c25c3aa487c3644dca3d7eb804056_sひとはその人の視点で様々な世界を見ている、その人の考え、価値観で外界を見ている。そして、それは、その人の人柄、人間性とも言える。

読書や体験や失敗や成功で人は学び成長する。学ぶということはどういう事なのか、成長するとはどういうことなのか、それは受容の幅を拡げる事、物事を受け入れる視野や支点を拡げる事だと思っている。

 

絵の知識のある人は絵が分かる。競馬に詳しい人は馬に詳しいだろう。

人間は、とかく自分の都合だけで、了見を狭くしてしまう。それが個性なのだけれど、しかし、人は学ぶことで、その自分の個性に加えて、自らの受容力をふやすことができる。それが人の成長だろう。

はなから馬鹿にしていた人にも良さがあり、関心のなかったこともその人の気持ちになってみればわかることもある。親になってみて分かった気持ちもあるだろう。自分がその立場になって分かったこともあるでしょう。

驕っていないか、思いあがっていないか・・・

金子みすずの「みんなちがってみんないい」という言葉が腑に落ちた。

自分が障害者の会社を引き継いだ時出会ったこの物語に受けた感銘は大きかった。

 

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