シンライノコトバ

「記憶のデザイン」



思いが風を起こす。
風が時代を花に結ぶ。
花が色を人に映す。
人が記憶をデザインする。
デザインが社会を彫り刻む。


時代が「色」を心に映す感覚で、その記憶を社会に彫刻するような作業が、ソーシャルビジネスではないだろうか?


かつて、「雇用を創出し税金を払うということは、社会に貢献することだから、それだけで堂々たる社会貢献企業だ!」と言う人が沢山いた。しかし、行き過ぎた工業社会の大量生産大量消費社会は、不必要に人間の欲望を増幅させるという利己的な利潤動機を前提とした経済活動で発展を遂げた。そして、政治が、その利己的欲望経済の税収で、社会基盤や社会保障、つまりエネルギーや資源の安定供給、教育や医療の管理を行う矛盾を抱えている以上、利益を単純な雇用の拡大と税へ還元するだけではソーシャルビジネス(社会的企業)と呼べない。

社会的ニーズの市場化を構想し、構築し、実現していくのが真の事業家である。しかし、現在は単視眼的に市場ニーズばかりを追いかけ、顕在化しているニーズを分析し、価格競争で不必要に欲望を喚起する事業家が成功モデルになっているのではないだろうか。

今の日本の社会ニーズは、孤立・孤独化問題、高齢化問題、育児・教育問題、環境問題、資源エネルギー問題などなど山積している社会問題の解決である。これらの問題の本質に真剣に向き合い、当事者の気持ちに寄り添い、その心を理解し、それを時代の心、記憶として捉え、公利公欲として同化する。
自然界において、全ての動植物は際立ちながら同化する。
時代の欲求。
社会の欲求。
その風に同化して、デザインし、花として際立たせる。
社会の心に寄り添い、商品・サービスを作り続けることが、ソーシャルビジネスではないだろうか。



2015年5月
熊野英介

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