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NO.48 土谷貞雄 シニアフェロー「家族はなくなるのだろうか」

「家族はなくなるのだろうか」

 土谷貞雄 シニアフェロー(株式会社貞雄 代表/HOUSE VISION 企画担当/建築家/暮らし研究家/ウェブコミュニケーションコンサルタント/コラムニスト)

 

結婚したくない人達、子供をつくらない夫婦、結婚しても別れてしまう人が増えています。少子化は深刻な問題ですが、止まることはないでしょう。2050年には日本の人口は8000万人になると言われています。人口減少は成熟社会の宿命ともいえますが、ここまで極端な国は少ないかもしれません。婚姻や性欲と切り離して、生殖を考えるべき必要も生まれ、婚姻制度も再定義する必要があるのかもかもしれません。これらの意識の変化に加えて、人工知能の出現やバイオテクノロジーの進化は生命体そのものをコピーするということさえ生まれてきそうです。

 

23e84a79cf02784fc215719b4b1b6577_sたとえばこの10年のイネターネットの普及は、我々の「個」と社会とのつながりを大きくかえました。人々は個人の領域を拡大しながら、自分にとって居心地のよいコミュニティーを外に向かって広げていこうとしています。電車の中でも、会社の会議中でさえも、そして家にいても、家族で食事をしていても、いつでも携帯電話の中を覗いている人々の姿からは、「家族」という社会の最小単位であった絆をイメージできないのはぼくだけではないでしょう。人々は一緒にいる人より、どこかの誰かとの会話が、しかもそれほど深い関係のない人との会話に時間を費やしているようにも思えるのです。

 

「個人<家族<地域<国家」、こうしたかつて描いた同心円状の社会の構造はなくなりつつあるのです。人々は様々なレイヤーでの他者とのつながりを求めて動いているのです。こうした現象を人々はどう受け止めているのでしょうか。幸せなのでしょうか。それとも不幸せなのでしょうか。そのうち居心地のよいOS(ロボット)に恋をして彼らと一緒に住む人々が増えるかもしれません。

 

もちろん社会はそうした極みにだけ進んでいるわけではありません。最近では、こうした希薄なゆるいつながりだけでなく、深い強いつながりも同時に、または反動的にも求め始めていることもおきています。週末にはボランティアで復興支援にいったり、地方再生のボランティアに行ったり、地域の子育て支援の活動をしたりという人々も増えています。とはいえこうしたつながりはかつての地域でのつながりや、人々が担っていた役割とは、どこか違う気もします。そこには強制的に何かをしなければならないという役割はありません。ある意味新しい価値観の登場かもしれません。人の役に立つことで自分も楽しい、嬉しいという、ある意味新しい人間の欲望のかたちの一つかもしれません。このことを人間の進化という人もいますが、そうなのかもしれません。それらの活動で恋に落ちて結ばれる若者もいるかもしれません。そうなればハッピーです。会社の肩書きや収入を目安に結ばれるのでなく、同じ価値観で結ばれるとしたら幸せな感じもします。そしてその夫婦は子供も作りたいと思うかもしれません。

 

eb2f47c1615abfec26e42a592d18a391_sさてもう一度はじめの話に戻ります。みなさんは、結婚したいでしょうか。家族を持ちたいでしょうか、子供を持ちたいでしょうか。その時の家族は生命をもった人間でしょうか。それとも人工知能で学習された最適なロボットになるのでしょうか。それでも、それは家族でしょうか。夫婦でしょうか。どうなるのかは私にもわかりません。ただきっと人間は進化の過程を遂げるに違いありません。今のままの状態では判断できない領域に入りつつあることは確かです。

 

最後に、それでも私はやはり家族を持ちたいとも思うのです。それはノスタルジーかもしれません。みなさんはどう思いますか。

 

 

 

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