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NO.45 宮本武 シニアフェロー「 再びめぐってきた敗戦記念日に思う」

「再びめぐってきた敗戦記念日に思う」

 宮本武 シニアフェロー(福音自由教会 基督者 / けいはんな里山の会会長)

 

再びめぐってきた敗戦記念日。テロとの戦いが叫ばれる一方で、宗教や民族、イデオロギーの違いを唱えながら実は経済的権益の奪い合いや価値観の押し付け合いに起因する暴力の行使が世界中を覆っています。

s_20100722_Hiroshima_Peace_Memorial_Park_4478そんな中で、太平洋戦争終結の折に、中華民国が戦後損害賠償請求を一切放棄し、200万人を超える軍民を安全に中国から引き上げさせてくれたこと、その背後には蒋介石総統が日本へ留学していたころに強い影響を受けた基督者であり社会運動家であった賀川豊彦の存在があったという記事を読みました。賀川豊彦は日中戦争に反対し憲兵隊によって投獄されたこともあったそうで、それを知っていた総統は「私が心から敬愛する賀川豊彦先生のいる日本を滅ぼすことはできない」と考えたからとのことでした。つくづく「世界平和は一人から」と思いました。一人の人の愛の力が人々を動かし、やがては世界を変革してゆくことを思いました。

今年はサミットの際に、原爆投下を行ったアメリカの現職大統領が、広島を訪れ、核廃絶を祈られました。また、敗戦記念日には今年も多くの方々が靖国神社に参拝し戦没将兵の霊を慰めるため祈られました。しかしながら、私にはそこに「戦争はやむをえなかったのだ」、「私たちは正義を信じて戦ったのだ」という共通の思いを感じます。国家の争いに巻き込まれ被害者となった多くの無辜の人々や国家の扇動に乗せられて直接的もしくは間接的な加害者となってしまった多くの人々に対する、国家としての反省や悔い改めの心が感じられないのです。

96e6319920189c4923f2275aad154d5d_s私は福音派の基督者として、キリスト教がローマ帝国の国教とされた以降に変質し「国家キリスト教」ともいうべきおぞましきものとなって現在に至り、今なお世界の支配的潮流の一つとなっていることを心から悲しく思っています。英米的価値観を共有しないものは野蛮で受け入れられないとして暴力をもってこれを誅すること、そのアンチテーゼとして暴力をもってそれに対抗しようとすること、このどちらからも平和は決して訪れないものと考えます。日本の基督者に内村鑑三という先達がおり、日本が連戦連勝であった時代に「非戦論」を唱えました。「徴兵は拒否してはならない。しかし、戦争に行っても敵を殺してはならない。敵に撃たれて死ぬ、その血によって平和をもたらすのだ。」いう徹底した無抵抗主義を主張しました。

聖書には平和について書かれた箇所が数多くありますが、全ては一人ひとりの心の持ちようについて書かれているといっても過言ではないかと思います。世界中の人々が心の中に平和の種を蒔かれるよう祈りたいと思います。

「ねたみや敵対心のあるところには、秩序の乱れやあらゆる邪悪な行いがあるからです。しかし、上からの知恵は、第一に純真であり、次に平和、寛容、温順であり、また、あわれみと良い実とに満ち、えこひいきがなく、見せかけのないものです。義の実を結ばせる種は、平和をつくる人によって平和のうちに蒔かれます。」(ヤコブの手紙3章16節から18節)

 

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