シンライノコトバ

【「希望」という貴重な資源が汚染される前に】

目が見えない、耳が聞こえない東大教授・福島智氏。
フランクルの「公式」を紹介している。
ウィーン生まれの精神科医で、ユダヤ人でもあったフランクルは、
ナチスの強制収容所に送られたが生還するという体験を基に『夜と霧』を著した。
フランクルは自らの経験を踏まえて、次の公式を示している。
「絶望」=「苦悩」-「意味」
「苦悩」イコール「絶望」ではない。
どんな「苦悩」にも必ず意味があり、その意味が失われた時に人は「絶望」する。

福島氏は、ここから新たな公式を導き出している。
「意味」を左辺に移行して、「絶望」を右辺に動かす。
更にマイナスの「絶望」を消す「希望」を足すと
「意味」=「苦悩」+「希望」
となる。

自分が生きることに意味を探すのではない。
生きていくなかで人生に課題が与えられる。
その課題への答えを探して苦悩をしながら希望を持ち行動することが
「生きる意味」ということだと思う。

この福島氏の考えから、次の公式が導き出せるのではないか。
「希望」=「意味」-「苦悩」
「経済的に立ちいかない」「家族と上手くいかない」「社会に居場所がない」
「長生きしても不安だ」といった「苦悩」を取り除いた後に残る「笑顔の記憶」や
「感謝の記憶」が「希望」ということか。
つまり笑顔や感謝を生んだ家族や仲間との関係性が「希望」ということなのではないか。
そう考えながら希望を頼りに生きてきた自らの人生を振り返ると、
その関係性は希望を持っている人達との間に生まれてきたことに気付く。

一方で、この時代に最も見つけにくい資源が「希望」ではないかとも思う。
この貴重な資源が、政治の世界でポピュリズムに使われ、汚染されるのではないかと危惧している。

今 この社会は物質的に豊かであっても孤独が増幅し、絶望や虚無が蔓延していると
感じている。
暗記と選択の訓練を偏重する教育が続き、自分の周囲にある条件の選択説明が
自分の意見と思い込む人があふれている。
新しい条件・価値を作ろうと模索する人間を異質として同調を求めあって排除してきた結果、
自らの思考を深め、苦悩し、希望を見出し、自分自身が生きる意味を全うしていく人が
生まれにくくなったからだと思う。
与えられた条件の中で人と多少違うことを個性としているが、思考は画一化してしまっている
ことに無自覚でいる。

このような時代に、志を同じくする人と連携し、次代に希望をつないでいけるようにするため
次代に希望をつなぎ続けられる持続可能社会へのプロジェクト(HOSP<ホスプ>
:Hopeful and Sustainable Society Projects)
を再起動することにした。

「HOSP」というのは、弊財団創設前の2007年、地球環境への危機感や行き過ぎた金融資本主義
・産業資本主義への危機感が募る中、現在の財団役員等が立ち上げたグループである。
当時、未来のライフスタイルの在り方や新たな経済の仕組みなど、持続可能な社会とは
どうあるべきかを模索し、ミーティングやフィールドワークを行っていたが、
この活動から2009年1月信頼資本財団が生まれた。

HOSP を設立して丸10年が過ぎたが、「自然災害」「金融危機」「戦闘状態やその準備状態」
「人間が打つ手を持たないとも言われるエネルギー関連事故」が私たちの暮らしそのものを
より不安定なものにし苦悩を増やし続けている。また、これらにまつわる一連の人間の欲望が
地球そのものにまで負荷を大きくかけている。
一方で、個々がその解決に向け新たな価値を求める続けるのは難しいという状況も変わっていない。

HOSPを再起動し、まずは本年11月から12月にかけてを「HOSP月間」とする。


この期間中に、賛同していただく人たちが各々京都で開催される企画をHOSP月間企画として
ご登録いただく。
会場が見当たらない方には、私たちが運営する風伝館を開放する。

同時に財団も下記主催・協賛企画をHOSP月間企画とし、一斉にweb上で広報する。

11月11日(土)  信頼デイ  <主催>
「未来の資本システム始まる」
(会場:京都市子育て支援総合センター こどもみらい館)

12月 9日(土)  核と鎮魂  <主催> *webサイトは近日公開予定
未来に希望をつなげる市民会議
(会場:京都学園大学 みらいホール)

12月10日(日)  地球未来シンポジウム  2017  <協賛>
「希望の探求」
(会場:国立京都国際会館)
*京都市主催「京都議定書誕生20周年記念地球環境京都会議2017
(KYOTO+20)」と同会館で同時開催

この活動をまずは京都から始め、毎年続けていきたいと考えている。

「希望」は、「生きる意味」から「苦悩」を取り除いた後に残る。
「生きる意味」は、人生の課題に「苦悩」しながらも「希望」を見出すから
実感できるようになる。
「絶望」は、課題に「苦悩」するばかりで、その「意味」が見出せなくなった時、
私たちを呑みこんでいく。

次の世代へ、そしてまた次の世代へ、希望をつなげられる社会に向けて、
ぜひHOSPの活動にご参画ください。

 

s_(最終版)核と鎮魂チラシfix
2017年 10月

信頼資本財団 理事長 熊野英介

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