シンライノコトバ

【時代が要求してくること】

 

 

先日、トヨタ自動車が、2050年にエンジン自動車販売をゼロにするとの目標を発表した。

 

Bangkok_traffic_by_g-hat電気自動車とガソリン車では必要とされる部品の種類や数が大きく異なる。

トヨタ自動車によれば現在のエンジン車全体の部品点数は10万点ほどあり、その内エンジンが占める部品は、数え方によるが1万~3万点。一方、電気自動車に搭載するモーターは、わずか30~40点ほどの部品点数。これにインバーターの部品点数を加えても、80~100点ほどにしかならない。

方針転換はトヨタ自動車だけに限らないだろう。

つまり、従来のガソリン車から電気自動車等への移行により、1万〜3万点が80~100点へという産業構造の激変が今から進むことになる。

 

即ち、全ての産業に影響が出て、その形態が激変する。

 

衣食住足りて不幸になるという物質充足市場では、物質への欲望は減退し、消費は縮小する。にもかかわらず、政府は2017年に消費税を10%にすることでインフレーションを起こし、消費欲を促そうとしている。しかし、長寿すら不安の要素となる国では、物価が上がれば上がるほど消費は縮小すると思う。金融商品ですら以前のように動かないだろう。土地や株式への投機や投資も進まないだろう。そんな社会の中で、産業構造が激変していく。

 

2016年1月1日にマイナンバー制度の運用が開始され、不安な社会の中、税源の安定化は図られる。

そのマイナンバー制度の導入にあたって、厚生省の課長が収賄の罪を犯した。

更に、高度成長の一翼を担った東芝の粉飾決算や、環境立国と呼ばれるドイツだ生んだ自動車会社フォルクスワーゲンの排ガス規制回避のための偽装問題など、これまで世界経済を牽引してきた存在が失墜する事件が相次いで起きている。

 

権威とまで見えた存在の失墜は、今に始まったことではない。振り返れば1991年、戦後最大の不正経理事件であるイトマン事件が象徴的だった。消費社会のピークであるバブル経済の破綻を機に、拝金主義の欲望による「人間性の誤作動」が一気に顕在化した。この誤作動を促すような成長戦略を国策や企業戦略にする時代では最早ない。

 

時代の要求は、お金や物の所有による安心で成り立つ社会ではなく、精神的なつながりで助け合いが成り立つ「信頼社会」だ。人間が人間を信頼出来る新たな時代に向けて、国や企業が目指す戦略は、世界からの「Respect( 尊敬・敬意を受ける ) という価値をたくさん受け取る」ことを意識すべきだと思う。

 

Respectは、軍事力や貿易額や資本額や社員数や売上で表せるものでなく、共感を作り出すことであり、仲間や社会や未来への貢献、奉仕が価値となるものだ。

その継続性が【信頼資本】になる。

 

これからの時代の激流に備え、新しい時代を目指す時。

 

2015年10月
熊野英介

ページトップに戻る